─ SNSだけじゃない。会社の中でも、あなたの態度はデータ化されている。
なぜ「誠実性」をテーマに書いたのか
私は著書『教育信仰の終焉』の中で、繰り返し「誠実性」について語りました。
それは単なる道徳の話ではなく、AI時代における“評価の仕組み”が今後、根本的に変わるかもしれない――
その変化に、私たちは備えておく必要があると感じたからです。
おそらく、短期的に社会が劇的に変わることはありません。
しかし、今この瞬間も世界は確実に「誠実さをどう評価するか」という方向へ進んでいます。
そしてそれが可視化され、評価されるのは、どこかの組織で圧倒的な成果が出たときかもしれません。
現代の社会では、すべてがデジタル化されています。
あなたの発言・行動・記録――その一つひとつが、すでにどこかのサーバーに保存され、
「履歴」として残り続けているのです。
SNSでの個人的な会話(会社でのチャットも同様)も、
AIとの何気ないやり取りの中で発した言葉も、
すでにマーケティングやアルゴリズムの最適化に利用されています。
私たちは今、レビューを見て商品を選び、
星の数や口コミの言葉を信じて購買を決めています。
しかし、その多くが企業によって意図的に作られた情報であることを、
どれほどの人が自覚しているでしょうか。
X(旧Twitter)やGoogleマップのレビューも、
単なる感想ではなく“データ”として収集され、
やがてAIが「発言者が信頼できる人物か」を判断するための材料になっていきます。
意図的に作られた発信や、信頼できない人物の言葉は、
AIによって識別され、評価の対象から外されていくでしょう。
そして、もしAIがそれを正確に判断できるようになるなら、
同じ仕組みは企業の内部にも応用されるはずです。
社内のチャット、会議での発言、報告書の内容、同僚とのやり取り――
そこに現れる“誠実さ”や“信頼できる態度”も、
いずれAIが評価する時代が訪れるかもしれません。
つまり、発言する人間そのものの誠実性がスコア化される時代が、
すでに静かに始まっているのです。
私たちは“プライベートなつもり”で話していることの多くを、
実は誰かが、あるいは何かが観測し、
人の行動や嗜好を予測するためのデータとして蓄積しています。
それに気づかず、軽い気持ちで不用意な発言や行動をしてしまう人は多い。
けれど、それが未来の信用を削る行為になっていることに気づいていない人もまた多いのです。
私は教育を否定したかったわけではありません。
むしろ、人がお世話になり、誰かに教えられたという感覚こそが、
「感謝」や「誠実」といった組織を支える根であり、会社の軸になるものだと思っています。
教える側も、教えられる側も、
どちらも「構造を作る主体」にならなければならない。
仕組みを考えるのは、誰か上の人間ではなく、あなた自身です。
現場を知る人間が仕組みを提案し、
上層部はそれを受け止めて構造化する。
その循環があって初めて、誠実が機能する。
誠実とは「正しさ」ではなく「構造を整える力」。
教育とは「教え込むこと」ではなく「仕組みを共有すること」。
その発想がなければ、
AIがどれだけ発達しても、人も会社も進化しません。
仕組みを与えられる側から、仕組みを生み出す側へ。
『教育信仰の終焉』は、教育を壊すための本ではありません。
“教えられる文化”から脱し、
“自分たちで構造を作る文化”へ進むための宣言書です。
誠実とは、感情でも理念でもなく、
構造として継承できる「思考の責任」。
私はこの現実を前に、
「誠実に生きること」こそが、AI社会で最も合理的な生存戦略になると確信しました。
それが、この本を書こうと思った理由です。
世界で進む「信用スコア社会」
▶ 中国・アメリカ・ヨーロッパの現実
- 中国では「社会信用システム」が制度として進行中。
不誠実な行動をすると、公共サービス利用が制限されることも。 - アメリカや欧州でも、AIが人の「信頼性」「協調性」を分析し、
採用や取引に活用され始めています。
💡 つまり、“信頼できる人”を数値で
判断する社会が世界規模で広がっている。
日本でも始まっている「誠実性の可視化」
日本企業でもすでに、
社員の行動や態度をデータで評価する動きが進んでいます。
🔹 企業が分析しているデータの例
- 出退勤の正確さ、残業申請との整合性
- メール・チャットの返信速度や文面トーン
- チームでの協調性、報告・連絡・相談の頻度
- 納期・約束の遵守率
- 他人の成果を正当に評価できているか
🧠 これらがAIによって解析され、
「信頼できる社員か」を判断する材料になっています。
もはや、上司が見ていないところでの行動も、AIが見ている。
これが「ピープルアナリティクス」と呼ばれる最新の企業評価構造です。
注意:SNSだけを気をつけても、もう足りない
SNS上の発言はもちろん危険ですが、
「会社の中」での態度がすでにスコア化されていることを忘れてはいけません。
🚨 「SNSでは大人しくしてるから大丈夫」
──そう思っている人ほど、裏で“行動データ”が誠実性を判断している。
たとえば:
- 社内での言葉遣いが雑
- 報告を後回しにする
- ミスを隠す
- 他人の努力を横取りする
これらの小さな行動が、**すべて信用スコアの“減点対象”**です。
「信用スコアが低い人」に起こる“静かな淘汰”
| 状況 | 結果 |
|---|---|
| 昇進・登用 | 推薦が回ってこない/候補から外れる |
| 契約・評価 | 条件が悪くなる/案件が減る |
| 社内関係 | 信用されない/孤立していく |
| 社外信頼 | 他社・顧客からの紹介が止まる |
💬 信用スコアは「減点されても通知されない」。
気づいたときには、もうチャンスが回ってこない。相手にされない。結果、信用スコアが高い社員は評価され、信用スコアの低い社員は評価されず発言権も低いままという二分化構造になっていく。
これが、AI時代の“静かな淘汰”です。
「自分の正しさを疑えない人」が一番危ない
⚠️ “誠実性の欠如”は、知識よりも恐ろしい。
✖ 典型的なパターン
- 常に「自分が正しい」と思っている。自分の判断力は正しいという認識
- 他人を決めつける発言が多い。人を落として自分を上げる。
- 指摘されると怒る・逆ギレする。貶める。
- 「謝ったら負け」と考えている
- 自身で物事を解決する能力が乏しい。他責思考
AIや企業システムは、こうした人を「対話不能・リスク人物」として認識します。
つまり、正論を振りかざす人ほど信用を失う。
💬 誠実性とは、“正しさ”を証明することではなく、
“自分を修正できる柔軟さ”のこと。
SNSと職場の態度、両方が「信用履歴」になる
SNSに書いた一言も、
職場での何気ない言動も、
すべてがあなたの**「信用ログ」**として残ります。
🔸 未来のAIはこう評価する
「この人は、短期的な利益よりも誠実さを優先できるか?」
「この人は、誤りを認めて修正できるか?」
「この人は、他者を傷つけずに意見を言えるか?」
あなたが誠実に行動すればするほど、
AIはあなたを“信頼コストの低い人”として記録します。
どうすればいい? ― 3つの行動指針
🪙 誠実性は「貯金」。毎日の態度が、未来の信用になる。
✅ ① 発言より、まず行動で示す
感情的な正論より、「約束を守る」「人を尊重する」行動を優先。
✅ ② 間違ったら修正し、謝る
謝れる人は信頼される。AIは「修正履歴」を見ている。
✅ ③ 他人の立場を想像する
相手の背景を理解できる人ほど、誠実スコアが高くなる。
結論:誠実さは「AI時代の履歴書」
もう、
「発言」も「成果」も「印象」も、
すべてAIとデータが記録しています。
💬 あなたの誠実さは、いずれ数字になる。
SNSだけでなく、
職場での態度・メール・返信・言葉遣いまでもが、
未来の信用スコアを作り続けている。
誠実に働くこと。丁寧に話すこと。責任を果たすこと。
それが、AI時代における最も確実な“自己防衛”です。
🧩 誠実性はもはや「徳」ではなく、「生存戦略」。
今の一言と一態度が、あなたの未来を決めている。
